月を眺める孤島

多分デレステとポケモンの話がメインのブログです

ずかんナビのサーチにおける色違いポケモンの出現率

先日、ORASのずかんナビにおける色違いポケモンの出現率に関するこんな記事を見つけました。

mrnbayoh.github.io

日本語でまとめてあるページは自分が探した限りでは無いので以下にまとめてみました。


ずかんナビとは

ORASにある、ポケモンを探し出すポケナビの機能の1つです。自分が今いるフィールドで出現するポケモンを選ぶことで、そのポケモンの体の一部が姿を現しそっと近づくことで戦闘になります。
連続で戦闘に突入することを連鎖と呼びます。例えばサーチで発見したラルトスを倒すか捕獲し、次に再びラルトスをサーチし戦闘に突入すると \(2\) 連鎖としてカウントされます(次に出会うポケモンラルトスでなくても連鎖は継続されます)。連鎖が途切れる条件は様々ですが、これは調べればいくらでも出てくると思うのでここでは割愛します。連鎖が切れると \(0\) 連鎖に戻され、1からやり直しとなります。
また、各ポケモンサーチレベルと呼ばれる値を持っています(上限は \(999\) )。これは連鎖と違い、そのポケモンと出会った回数を示すものです。よって、連鎖と違い減ることはありません。

色違いの判定方法

通常、第6世代において色違いポケモンと出会える確率は

\[\displaystyle\frac{16}{65536} = \frac{1}{4096}\]

です。この色違いかどうかの判定より前にずかんナビで処理を行います。もしその処理で色違いであると決定された場合、その時点で色違い確定です。そこで色違いにならなければ、通常通りの判定で色違いかどうかを決定します。ひかるおまもりを持っていれば、ずかんナビで色違いにならなかった後行われる通常の判定を \(3\) 回まで行うようになり、一度でも色違いになればループを抜けます。


まず始めに、ランダムな値 \(r_1\) \((r_1 \in\mathbb{N}, 0\leq r_1 < 10000)\) を生成します。次に、そのランダムな値とは別の値 \(d\) を求めます( \(d\) はサーチレベルによって一意に定まります)。これをここでは図鑑レベルと呼ぶことにします(本文中ではdexnav_level)。
図鑑レベル \(d\) はサーチレベル \(s\) を用いてこのように求められます。

\[
d = \begin{cases}
s+600 & (200 < s\leq999) \\
2s+400 & (100 < s\leq200) \\
6s & (0 < s\leq100)
\end{cases}
\]

実際に計算に用いられるのは、 \(d\) を \(100\) で割って小数点以下を切り上げた値 \(d'\) です。

\[
d' = {\rm ceil}\left(\displaystyle\frac{d}{100}\right)
\]

ランダムな値が \(100\) で割った後の図鑑レベル未満になったとき、すなわち \(r_1 < d'\) であれば出現するポケモンは色違いになります。
この処理は一度だけでなく複数回行われることがあります。例えば、ひかるおまもりを持っていれば \(2\) 回多く \(r_1\) が生成され、計 \(3\) 回色違いを狙うチャンスが与えられることになります。
また、連鎖のボーナスとして、 \(49\) 連鎖目のみ \(+5\) 回、 \(99\) 連鎖目のみ \(+10\) 回 \(r_1\) の生成回数が増加します。
加えて、先ほどとは違うランダムな値 \(r_2\) \((r_2 \in\mathbb{N}, 0\leq r_2 < 100)\) を生成し、 \(r_2 < 4\) であれば \(r_1\) の生成回数 \(+4\) 回という謎のボーナスがあります。これをランダムボーナスと呼びます(本文中ではrandom_bonus)。
この増加は同時に複数起こることもあり、その総和が最終的な \(r_1\) の生成回数となります。ちなみに、 \(r_1 < d'\) という条件を複数回満たしても全く意味はありません。

もう少しわかりやすく

この説明だけでは流石にアレなのでできるだけ簡単に書いてみます。

まず、 \(0\) ~ \(9999\) までの整数が書かれたルーレットを想像してみてください。これが先程出てきた \(r_1\) にあたります。
とりあえず今回はこれを1回だけ回してみることにします。

次に、図鑑レベルという値を求めます。この値は、サーチレベルによって変動します。

サーチレベルが \(1~100\) :サーチレベル \(×6\)
  サーチレベルが \(101~200\) :サーチレベル \(×2+400\)
サーチレベルが \(201~999\) :サーチレベル \(+600\)

さらに、この値を \(100\) で割って、小数点以下を切り上げた数字が図鑑レベルになります。


説明だけでは分かりにくいので、具体例を挙げてみます。
例えば、サーチレベルが \(134\) だったとします。このとき、サーチレベルは \(101~200\) の間に入っているので
\[
134×2+400 = 668
\]
となり、それを \(100\) で割って
\[
668÷100=6.68
\]
となります。小数点以下を切り上げるので、図鑑レベルは \(7\) であると計算できました。


図鑑レベルはサーチレベルが上がるごとに少しずつ増えていき、最終的に \(16\) まで上昇します。

サーチレベル 図鑑レベル サーチレベル 図鑑レベル
1~16 1 201~300 9
17~33 2 301~400 10
34~50 3 401~500 11
51~66 4 501~600 12
67~83 5 601~700 13
84~100 6 701~800 14
101~150 7 801~900 15
151~200 8 901~999 16


最も図鑑レベルが増えやすいのはサーチレベル \(100\) までで、サーチレベル \(201\) 以降は特に上がり方が緩やかになっています。表から分かるように、サーチレベル \(200\) がちょうど折り返しに当たるというわけですね。


さて、ここまできてようやく色違いになるかどうか判定をすることができます。判定に使うのは先ほど求めた図鑑レベルと、最初に回したルーレットで出た数です。
色違いになる条件はというと、「ルーレットで出た数が図鑑レベル未満」です。未満なので、図鑑レベル自身は含まないことに注意してください。
先ほどの計算で、サーチレベル \(134\) のとき図鑑レベルが \(7\) であると分かったのでそれを例に考えてみます。図鑑レベルが \(7\) のとき、 \(0\) ~ \(9999\) の計 \(10000\) 通りもあるルーレットで \(0\) ~ \(6\) のいずれかの数を出したときだけ色違いになります。要するに、色違いが出る確率は
\[
\frac{図鑑レベル}{10000}
\]
です。これだけ見るとどう考えても低い確率です。仮にサーチレベルが \(999\) でカンストしていたとしても、図鑑レベルはわずか \(16\) ですので、光る確率は
\[
\frac{16}{10000} = \frac{1}{625}
\]
しかありません。ぶっちゃけここまで低いと、サーチレベルがカンストする前に1匹や2匹色違いと自然遭遇していても何らおかしくはありません(図鑑ナビでサーチレベルを稼ぐ場合自然遭遇といえるかは怪しいですが)。

しかし、チャンスはこの \(1\) 回だけではなく、いくつかある条件を満たせば数回ルーレットを回し直すことができます。
まず、全国図鑑完成で手に入るひかるおまもりを持っていると、それだけで回せる回数が \(2\) 回増えます。また、丁度 \(49\) 連鎖のときに限り \(5\) 回、 \(99\) 連鎖のときに限り \(10\) 回チャンスが増えます(いずれも \(49\) 連鎖「おき」、等ではなく丁度重なったときだけという点に注意)。
実はずかんナビにおける連鎖が色違いの出現率に関わるのはここしかありません。それどころか、 \(100\) 連鎖以降一度もボーナスがないことから、何百連鎖しても意味がない上仮に連鎖が切れてしまっても(色違いを狙う上では)痛くも痒くもないということになります。
そしてもう1つ、ランダムボーナスという謎のボーナスがあります。このボーナスは \( 4\% \) の確率で発生し、ルーレットを追加で \(4\) 回回せるようになります。平均 \(25\) 回に \(1\) 回程度発生するボーナスですが、そこそこ美味しいので知らないうちに恩恵を受けることになるかもしれません。

以上のボーナスは重複することがあります。考えられる最大の数は「ひかるおまもりを所持していて、 \(99\) 連鎖目にランダムボーナスが発生する」という状況の \(1+(2+10+4)=17\) 回です。とりあえずひかるおまもりさえ持っていれば常時 \(3\) 回チャンスがあるので是非とも入手しておきましょう。

色違いポケモンの出現率

最後に色違いがどれくらいの確率で出現するのかを計算してみましょう。また小難しい話が続くのでご了承ください。

図鑑レベルを \(d'\) とすると、ずかんナビの処理 \(1\) 回につき
\[
P(C) = \frac{d'}{10000}
\]
という確率で色違いになります。ただし、ここで \(C\) を「条件が満たされている」という事象とします。
また、ランダムボーナスが発生する事象を \(B\) とすると、
\[
P(B) = \frac{4}{100} = \frac{1}{25}
\]
です。

さらに、ひかるおまもりを所持しているときのボーナス \( b_{charm} \) は
\[
b_{charm} = \begin{cases}
2 & (with \ the \ shiny \ charm) \\
0 & (otherwise)
\end{cases}
\]
加えて、連鎖数を \(c\) とおくと連鎖によるボーナス \( b_{chain} \) は
\[
b_{chain} = \begin{cases}
10 & (c=99) \\
5 & (c=49) \\
0 & (otherwise)
\end{cases}
\]
したがって、ランダムボーナスを考慮しない乱数 \(r_1\) の生成回数 \(n\) は
\[
n = 1+b_{charm}+b_{chain}
\]
となります。

以上より、少なくとも1回 \(C\) が起こりうる事象を \(D\) 、色違いになる事象を \(S\) とすると \(P(S)\) は
\[
\begin{eqnarray*}
P(S) &&=&& P(B \cap D \cap S) + P(\overline{B} \cap D \cap S) + P(B \cap \overline{D} \cap S) + P(\overline{B} \cap \overline{D} \cap S) \\
&&=&& \frac{1}{25} × (1-( (1-P(C))^{n+4} )) \\
&& && + \frac{1}{25} × (1-P(C))^{n+4} × \left(1-\left(\frac{4095}{4096}\right)^{1+b_{charm}}\right) \\
&& && + \frac{24}{25} × (1-( (1-P(C))^{n} )) \\
&& && + \frac{24}{25} × (1-P(C))^{n} × \left(1-\left(\frac{4095}{4096}\right)^{1+b_{charm}}\right)
\end{eqnarray*}
\]
と計算できます。

具体例

試しに、ひかるおまもりを持っていて、かつ \(10\) 連鎖のときサーチレベル \(80\) のポケモンをずかんナビで探すと仮定します。
まずは図鑑レベルを求めてみましょう。今回は \(100\) 連鎖未満なので
\[
d' = {\rm ceil}\left(\displaystyle\frac{6×80}{100}\right) = {\rm ceil}\left(4.8 \right) = 5
\]
となり、図鑑レベルは \(5\) であることがわかりました。よって、ずかんナビの処理を \(1\) 回行ったとき光る確率 \(P(C)\) は
\[
P(C) = \frac{5}{10000} = \frac{1}{2000}
\]
です。
また、現在の連鎖数は \(10\) で連鎖によるボーナスはありませんが、ひかるおまもりを持っているのでずかんナビの処理を繰り返す回数 \(n\) は
\[
n = 1+2 = 3
\]
です。ただし、ここではまだランダムボーナスは考慮していないことに注意してください。

最終的に光る確率 \(P(S)\) は次の \(4\) つの確率の和となっています。

\( (1) \) ランダムボーナスあり、かつずかんナビで少なくとも \(1\) 回光る
\( (2) \) ランダムボーナスあり、かつずかんナビで光らない、かつ自然発生で少なくとも \(1\) 回光る
\( (3) \) ランダムボーナスなし、かつずかんナビで少なくとも \(1\) 回光る
\( (4) \) ランダムボーナスなし、かつずかんナビで光らない、かつ自然発生で少なくとも \(1\) 回光る

\( (1) \) および \( (2) \) はランダムボーナスが発生したときの確率なので、先ほどの \(n\) に \(4\) を足した回数がずかんナビの処理回数です。

{
\displaystyle
\begin{equation}
P(B \cap D \cap S) = \frac{1}{25} × \left(1-\left(\frac{1999}{2000}\right)^{3+4} \right) \approx 0.00013979012 \\
P(\overline{B} \cap D \cap S) = \frac{1}{25} × \left(\frac{1999}{2000}\right)^{3+4} × \left(1-\left(\frac{4095}{4096}\right)^{3}\right) \approx 0.0000291874 \\
P(B \cap \overline{D} \cap S) = \frac{24}{25} × \left(1-\left(\frac{1999}{2000}\right)^{3} \right) \approx 0.0014392801 \\
P(\overline{B} \cap \overline{D} \cap S) = \frac{24}{25} × \left(\frac{1999}{2000}\right)^{3} × \left(1-\left(\frac{4095}{4096}\right)^{3}\right) \approx 0.0007018994 \\
\end{equation}
}
それぞれの確率はこのように求まるため、それらを全て足し合わせた
\[
P(S) \approx 0.0023101571 \approx \frac{1}{433}
\]
が色違いの出現率になります。

ちなみに、連鎖数、サーチレベルはそのままにひかるおまもりを持っていない場合の確率を同様に計算すると
\[
P(S) \approx \frac{1}{1214}
\]
となります。ひかるおまもりを持っているだけで(この例だと)確率がおよそ \(2.8\) 倍になっているので、あるのとないのでは大きな差があることがわかります。

まとめ

・ずかんナビを使うと色違いが出やすくなる
・連鎖数はほぼ関係ない(なので切れても落ち込まない)、とにかくサーチレベルを上げまくろう
・ひかるおまもりは是非入手しておこう

リンク元のページには確率計算機も置いてあるので、上のような計算が面倒な人は利用するとよいでしょう。